2019年3月21日6:58に太陽が春分点を通過し、10:42に満月となります。
占星術の世界では、春分・秋分という太陽活動の平分点や、夏至・冬至という極点、新月や食や惑星同士の会合や外惑星の移動といったタイミングで星の配置を読むと、そこから世の中でどのようなことが起こるのかを予測することができます。
こちらが春分のチャートですが、全体のテーマや方向性は上昇宮(ASC)で読み解くことができます。
今回の春分チャートにおいて、ASCは牡羊座にあり、新しい物事をはじめたり、道を切り拓いたりしようとするエネルギーが満ちているでしょう。
全体的に勢いがあり、活気あふれる雰囲気となりそうな1年です。
その活気がどこへ向けられるのかというと、牡羊座の守護星である火星のある場所。
火星は1ハウスの牡牛座に位置しています。
牡牛座は地のエレメントに属する星座であり、目に見える現実的な結果や形として、新しい何かが創り出されていくことに、エネルギーが向けられるといえそうです。
この1ハウスの牡牛座が示すのは、より美しく、リッチで、豊饒さを彷彿とさせるもの。
水瓶座の金星と90度の角度を作っているので、それはこれまで抱えていた、さまざまな問題を最新の技術やテクノロジーで解決するものである可能性もあります。
それはまた水星・海王星の魚座のさし示す、ユニバーサル・デザインに準じたものであり、障がいの有無や能力差によって使えないという問題が解決されるものでもあるでしょう。
そして土星・冥王星の山羊座と、月の乙女座との大三角形が示すように、それらはわたしたちの日常の暮らしをより便利にするものであり、特に古くて使いづらく、機能が制限されているものを改善するもの。
これらを総合的に見ると、2020年の東京オリンピックを前に、更なるインバウンドを呼び込みつつ、高齢化社会に対応する都市インフラの整備やリストラクチャーが加速的に進んでいくことが予測されるでしょう。
牡牛座が示しているように、それらの建築は最新であると同時に重厚で美しいデザインにもなるはずです。
そのような都市インフラの改善や進化はわたしたちの暮らしやすさにつながり、一部の業界の好景気にもなり得ますが、その一方で着々と税制改革が進み、消費税をはじめ、各地で税率や物価の引き上げも起こりそうです。
そのため個人レベルでは、消費がそこまで進まず、景気の良さや恩恵を感じることが少ないかもしれません。
一部にお金があったても、末端まで行き渡らないような雰囲気があります。
また、このような基盤からの再構築は、企業や自治体の単位でも起こるでしょう。
天頂に位置する山羊座が牽引するため、政治も企業も地方自治体も全般的に保守傾向にありますが、同時に本当に大切な本質を存続させるために、余計な枝葉をバッサリと切り落とすようなところが際立ちます。
そのため、さまざまな場所において、合併・解体・再構築が増えるかもしれません。
特に一点集中で力を持っているものは、分散させられる傾向にあります。
また再編成したもののイメージを高めるために、新しい名前が付けられたり、イメージやロゴを一新したりと、リブランドされるものも出てくるでしょう。
12ハウスの太陽はご退位される陛下の象徴といえるかもしれません。
12ハウスという隠匿の部屋に、太陽の象徴する国家元首が入りますが、これが天頂にある土星・冥王星と72度を作り、これは伝統を保持しながら進化するための生まれ変わりを示すでしょう。
国の象徴である天皇が変わることで、国の持つ雰囲気と元号が変わり、それはわたしたちの日常生活にも、さまざまな波紋を起こすことになりそうです。
中には元号をやめて西暦で統一した方が良いと思う人もいるかもしれませんが、元号は1400年近い歴史を持つ、民族のアイデンティティを象徴するひとつ。
神話や建国の歴史を語らない現在の日本に残すべき基盤のひとつではないかと、個人的には思います。
水星と海王星が魚座に入り、土星と角度を作ることで、これまで隠されてきたさまざまな事柄が明るみに出てきそうです。
そしてまた同時にそれらをより厳しく管理したり、取り締まったりする制度を制定したりする動きも出てくるでしょう。
子供の虐待やいじめなどはその凄惨な経緯が明るみに出ることによって、より踏み込んだ具体的な再発防止策ができるかもしれません。
しかしそれが現場で働いている人たちの実情からかけ離れた理想論であれば、なかなか末端まで行き届くことは難しいでしょう。
魚座に位置する水星と海王星は、福祉の充実や弱者の救済に意識が向けられて、現状の見直しが起こりやすい時ですが、実態を数値ではかることが難しいため、結局は多くが取りこぼされることになるかもしれません。
誰もが平等に権利を受け取るべきだという人道的な社会への理想が高まる一方で、地のエレメントを中心とする社会では「個人の責任は個人や家族が負うべき」という内的な声も出てきそうです。
その狭間において、現状や未来に対する不安を抱える人に対して、詐欺が横行する気配があります。
オレオレ詐欺、投資詐欺、副業詐欺、結婚詐欺……人の不安感につけいるような組織的な犯罪が蔓延しやすいときだといえるでしょう。
個人としては「自分自身の人生の基盤をしっかりと整え直すこと」がテーマといえそうです。
第一に働き方、第二に暮らし方についての見直しです。
特に経済活動に関しては、これまでの稼ぎ方を引き継ぎつつも、古いものを新しいやり方や形に変えて、もっと合理的でシンプルかつ結果に直結するものに変えていくことがポイント。
ガラッとやり方を一から作り替えるにも良い時期で、改めてリブランドして、表に見せる看板を装い新たにするのも良さそうです。
未来に対して先行投資する時期であり、すぐに成果が上がらなくてもやめないこと、コツコツと積み上げて実績を作ることが大切。
このリストラクチャーは今後の自分自身の基盤を作り替えるとき。
そのためには自分自身の中心としっかりとつながって、何を本質において、その基盤を創り上げたいのか、ということが肝心要となります。
自分に嘘も偽りのない中心には、何があるのか。
わたしのたましいは何を体験し、何を表現したがっているのか。
自分の真実から基盤を作ることが大切な時期です。
そのまわりにある不要な枝葉をばっさりと落として、軽やかに、美しく、整えるとき。
自分に対する愛と敬意を忘れないように、まだ持っていないことよりも、すでに持っているものに目を向けて、それを大切に育てていきたい1年です。
わたしたちの力強い一歩で未来を創り出す、2019年の宇宙元旦です。
執筆 占星術師・小泉マーリ