内なる霊性への
到達に意識が完全に向けられているため、
見かけと清潔さへの気遣いを
放置して座っている男
Totally Concentrated Upon Inner Spiritual Attainment, A Man Is Sitting In A State Of Complete Neglect Of Bodily Appearance And Cleanliness.
自分の内側にある一点だけに完全に集中していて、他のものをすべて無視している状態が描かれているサビアン・ワードです。悟りを得るためにただ座り、なにが起こったとしても、ただひたすら内観している姿に通じるものがあるでしょう。そのように、ただただ「見ること」だけを続けて、ついにはある境地へと辿り着くのかもしれません。
実際に瞑想は脳の意識を変容させますが、自分自身の意志の力で「めざすところまで辿り着く」集中力を示しているのでしょう。そして、そのようなことが内部で起こっているときに、まわりがどう見ているか、ということをまったく気にも止めていない様子もここでは描かれています。
通常わたしたちは少なからず他者の目を気にしながら暮らしていますが、ここではまったく人からどう思われようが気にしていません。それは社会の制約や他者から見られていることから本当に解放されて自由になった状態であるともいえるでしょう。
この度数を持っている人は、ものすごい集中力があり、自分にとって大事なことに関しては徹底的に突き詰めて、できる限りの最高潮まで達したいという欲求がありそうです。何かの作業や創作をはじめると、まわりの声が聴こえないほど没入して、むしろ食事やお風呂といった日常的な行為が煩わしくも感じられるでしょう。
自分の内側の深いところへ到達すると、人々が基本的に自分のなかにあるものを投影して他者を評価しているに過ぎない、ということが見えてくるかもしれません。それゆえ、まわりがどう言おうとも気にせずに、自分の自由な世界を貫いていくことができるのでしょう。