2019年は日本人にとって特別な年。
200年ぶりに天皇陛下のご譲位が行われる運びとなり、1ヵ月前となった今、新元号も発表されました。
この、ご退位の様相は2019年の春分チャートにも、しっかりと表れています。
国家元首を示す太陽が隠匿の部屋である12ハウスに入り、その真向かいの6ハウスに月。
月は通常、国民を表しますが、親子関係においては太陽が親、月が子どもを象徴します。
この2つの星を調停する形(※)で、山羊座の土星と冥王星が角度を作っています。
山羊座は「伝統」、土星は「基盤」、冥王星は「生まれ変わり」をそれぞれ示しますから『伝統ある基盤を継承するための、親から子への再生』と、読むことができるでしょう。
国家の象徴である陛下が代わられるという事は、国の雰囲気や時代が変わることが予想されます。
今後の令和時代がどのようになっていくのか、星のめぐりから読み解いてみようと思います!!……が、その前に、では『平成時代はどんな時代だったのか?』ということを振り返っておきましょう。
平成の始まりはちょうど30年前。1989年の1月8日です。
この年の6月に天安門事件が起こり、11月にベルリンの壁が崩壊し、12月に東西の冷戦が終結し、年末に日経平均株価が史上最高値をマークして(38,954円!)バルブの絶頂を極めました。
このようなタイミングで始まった「平成の時代」のチャートがこちらです。
物事が開始された日時でホロスコープを作ると、人物を読むように、社会の事柄も読み解くことができます。
このチャートのアセンダント(※)にある天秤座は『多様性の時代の到来』を示していたのかもしれません。
天秤座はさまざまな個性を持つ人々を互いに認め、尊重しあおうとする星座。特に、このチャートのアセンダントに位置する天秤座17度のサビアン・ワード(※)は『逮捕された二人の男』であり、マイノリティの人々や社会の影に隠れていた人々にスポットを当てて、彼らの個性を尊重しようとする働きのある度数です。
実際、この30年の間に、さまざまなアイデンティティーを持つ人たちの個性を尊重する風潮や理解が進んだように感じられます。もちろん、まだまだ根強い偏見を持っている人たちがいるのも事実ですが、「ダイバーシティ」という言葉の広がりと共にマイノリティーもひとつの個性と認識する人が増えたでしょう。
全員が同じようなゴールをめざすのではなく、個性と共に生き方、暮らし方、働き方の多様化が広がるというのが、平成時代のひとつテーマだったといえるかもしれません。
天秤座は関係性と調和を象徴する星座です。
結婚と戦争という相反するふたつの象徴であり、そこには何かを協働でやり遂げること、コミュニケーションを通して相互に理解することが示されているでしょう。
調和のカギは、お互いの違い……個性や価値観や信念の違いを認め合う、というのが天秤座のやり方です。
さまざまなギャップを超えて、受け容れあうことも、わたしたしはこの30年でやっていたのかもしれません。
平成のチャートで目を引くのは、3ハウスにステリウム(※)する惑星たちです。
ここに伝統を司る山羊座と土星、それをくつがえして、制限をなくしていく天王星と海王星とが共にあったために、平成の30年はまさに『3ハウスが大変革する時代だった』といえるでしょう。
3ハウスが象徴するものはいろいろありますが、まずはなんといっても『伝達・通信の手段』
携帯電話業界において1985年に重さ3kgほどある無線機のような『ショルダーフォン』平成元年の1989年に初の小型携帯電話が登場しました。
日本が初めてIP接続によってインターネットに参加したのが昭和63年(1988)のことであり、1989年にインターネット開発の基礎が形成されて、まさに平成元年が『インターネット元年』となりました。
1994年にダイヤルアップ回線によるネット接続が始まり、1995年からテレホーダイ(※)がスタート。
Yahoo!JAPANのサービスが開始された1996年(平成8)に3.3%だった日本のネット接続率は、1999年にADSL開通、2000年にAmazon登場、2003年に光回線開通、2005年にYouTube開始、2008年にiPhone、2010年にiPadの登場などを経て、2016年(平成28)に93%に達しました。
携帯の普及率は、1989年に0.2%だったものが、2018年に181%にまで急成長。
これらはまさに3ハウスの土星・天王星・海王星が象徴する「伝達・通信手段の大変革」といえそうです。
40代以上の人にとっては、まさにネットと共に社会を歩む30年だったのではないでしょうか。
3ハウスはまた、新聞・ラジオ・雑誌・テレビといった国内メディアによる情報伝達網も象徴しますが、ネットの普及と共にそれらも様相をガラリと変えて、多くの雑誌が廃刊となり、メディアの主軸がネットに大きく傾いてきました。
3ハウスの象徴する広告業界も、テレビからネットに舞台を移行すると同時に、多くの人たちがオンラインで買い物をするようになって変化したもうひとつのものが「宅配業界」です。
運送・配送というのも3ハウスのテーマですが、個人宅配の利用件数が平成元年に約10億件だったものが、平成29年には42億件とおよそ4倍にも増加しました。
これは各家庭に月6回荷物が届く計算になりますが、そう言われてみると我が家は月6どころか、2〜3日に一度は宅配が来ているような気がします。
3ハウスは郵便も象徴するのですが、郵便物の配達は2001年頃をピークに、その後は下落。年賀はがきの発行枚数は1989年に35億枚、ピークは2003年の44億枚ですが、2018年はかなり落ち込んで25億枚となり、年々減少傾向にあります。
代わりにゆうパック、ゆうメールは直近15年の間に通販・オークション需要によって10倍以上にも伸びているようです。
また、3ハウスには移動手段・交通機関というテーマがあるのですが、これを象徴するのが若い世代の自動車・バイク離れでしょう。
昭和の世代は成人したら免許を取って、いずれは大きな車に乗るのがステイタスのような面がありましたが、平成時代は都市部の若者を中心に車の保有率が下降。30歳以下の車の保有率が2005年の67%から2017年は48%と減少しています。
自家用車の所有から、カーシェアリングやレンタカーに移行しているのも3ハウスの変化といえるかもしれません。
こうして改めて振り返ってみると、やっぱり平成の30年は3ハウスの象徴する『通信・運送・郵便・移動手段』の変化が著しい時代だったといえそうです。
3ハウスは『日常生活』を示すので、わたしたちの日常がガラリと様相を変えた30年だったともいえるでしょう。
次回は新しい令和の時代がどんな未来を示すのかを、そのチャートから予想したいと思います。
執筆 占星術師・小泉マーリ