近年、数ある占いの中でも、とても人気の高い「占星術」。
「星読み」などとも呼ばれて、いろいろなところで自分の星を知る機会が増えています。
占星術は単なる占いとして使えるだけではなく「自己成長のための指針」ともなるもの。
自分の星を占い師に読んでもらうのもいいけれど、どんなものなのか、自分で勉強したい人のために、占星術についてご紹介していきたいと思います!!
占星術とは「ある瞬間」の「ある地点から見た」天の星の配置を図に記して、そこから地上で起こる出来事や人物の特性を読み解くものです。
そこで使われる天の星たちには二種類あります。
ひとつは星座の形を保ったまま、時間の経過と共にめぐっていく「恒星」であり、もうひとつは、その恒星たちのあいだを周期的にめぐっていく「惑星」です。
地球は1年かけて太陽のまわりをめぐっていますが、占星術が成立した当時の宇宙観においては、すべての星たちが地球のまわりをめぐっている天動説の考え方が主流でした。
その世界においては、太陽のほうが地球のまわりを1年かけてめぐっているように見えます。
この太陽が1年かけて地球のまわりをめぐっているように見える「見かけ上の通り道」が「黄道(こうどう)」であり、この黄道上に位置するのが12星座です。
太陽系の惑星たちは、それぞれの公転周期で太陽のまわりをめぐるため、この黄道の12星座の上を移動しているように見えます。
この12星座の、どのあたりに、どの惑星が通過しているのか……というものを図で記したものが「ホロスコープ・チャート」であり、占星術ではこの図を読み解いて、さまざまな出来事を解釈していくことになります。
天体の動きを観測する天文学はメソポタミアの歴史において、今から3,800年前頃から始まったとされています。
その頃すでに「この星が動くと王が死ぬ」「この星がこのように動くとその地は戦争状態になる」といった予測がなされていました。
観測技術が高まった2,500年前頃にはバビロニアの知識がエジプトを経由してギリシャに流れこみ、星座や惑星が特定されて、今の占星術に近い形のものが出来上がったようです。
2,200年前頃にギリシャの哲学者たちが占星術を受け入れると、それは医学や植物の研究、錬金術の分野と統合されて、さらに進化していきます。
その知識はローマにも広がっていき、2世紀頃にはエジプトやギリシャ、中東といった広範な都市部で普及しました。
しかし、ローマでは皇帝が「お抱え占星術師」を擁しながらも、ホロスコープ禁止令を出すといった動きも出てきます。
その後、国家と教会の双方から禁止された占星術は、6世紀頃にその姿を潜めます。
占星術が西欧諸国において復活するのは12世紀。
教会が新たな学問の広がりと共に占星術を受け入れることで、それは再び定着していきました。
当時の占星術は医学、気象学、錬金術などを深めていく上において、欠かすことのできない必須の学問となりました。
14世紀頃、ほとんどの教皇や司祭、君主といった人物たちが、自分だけの占星術師を抱えていたといわれています。
しかし17世紀頃から「根拠がなく」「占術者によって一貫性のない」占星術は批判され始めます。
そして新たに出現した「科学」という学問の進化に伴って「迷信的な」ホロスコープは次第に排除されるようになりました。
17~18世紀頃に全世界的に衰退した占星術が復興するのは19~20世紀頃。
それは心理学という新たな学問の台頭と共に起こりました。
心理学で有名なカール・ユングは人間の精神の発達と占星術を紐付けて解き明かし、今日ではそのような「心理学的な占星術」が広く知られています。
星のめぐりはわたしたちの成長と深く関わっていて、これを紐解くことで、より意識的に自己を解放し、生まれ持った可能性を開花させることができるといえるでしょう。
占星術はその歴史において2度消えそうになっては、復活を果たしました。今なお、この文明の世界において占星術の人気が衰えないのが、少なからずの人が星の動きと心の関係を感じているからでしょう!!
占星術で使われる図は「ホロスコープ・チャート」と呼ばれますが、これはギリシャ語の時間(hour)と表す「Hora」と、観測者を表す「Skopes」が組み合わされた言葉です。
チャートは「図」を示すので、ホロスコープ・チャートは「ある時間を観測するための図」といえるでしょう。
ここでいう「ある時間」とは「ある人が生まれた瞬間」であったり「ある物事が始まった瞬間」であったり「大きな惑星の移動があった瞬間」などを指します。
その時間、その瞬間の、その場所から見た天の星を記した図を読み解くことで「それがどんな可能性を持っていて、どのようになっていくのか」という解釈していきます。
上皇陛下のホロスコープチャート(サンプル)
ホロスコープ・チャートには通常「黄道の12星座」と、その星座帯を通過している「10の惑星」、その惑星同士の関係を線で示している「アスペクト」と、空間を12に分けた「12ハウス」とが描かれています。
そのひとつひとつに含まれた意味を学び、それらを合わせて読み解くことで、さまざまな解釈ができるようになるでしょう。
占星術の世界では「人物」だけではなく「企業」や「お店やサロン」「結婚生活」「地域」や「国家」「ある時代」なども読み解くことが可能です。
さまざまなことを読み解ける占星術は複雑で、決して簡単ではありませんが、あらゆることに応用できるので、とても面白い学問です~!!
持ち前の能力を遺憾なく成長させるために、占星術の学びを深めていきましょう。
執筆 占星術師・小泉マーリ