占星術のホロスコープ・チャートは「12星座」「10惑星」「アスペクト」「12ハウス」という四つの要素で構成されています。
このひとつずつのシンボルが持っている意味を学んで、合わせて読み解いていくことで、天の星たちが奏でているハーモニーが聴こえてくるでしょう。
まずはこの要素のうち、黄道を彩る12星座をご紹介しようと思います。
……が、いきなり星座の個別の解説をする前に、12星座の「二区分」「三区分」「四区分」についてお話します。
「二区分」とは、12星座を6星座ずつ、2つのグループに分けたもの。
「三区分」とは、12星座を4星座ずつ、3つのグループに分けたもの。
「四区分」とは、12星座を3星座ずつ、4つのグループに分けたもの、となります。
こうしてグループ分けしておくことで、星座の特徴がより明確に区別しやすくなるでしょう。
「二区分」と「四区分」は、次回にするとして、今回は「星座の三区分」をご紹介します!!
前回の占星術講座(1)において簡単にご紹介しましたが、地球は1年かけて太陽のまわりをめぐっていますが、地球から見ると、太陽のほうが1年かけて天をめぐっているように見えます。
この見かけ上の太陽の通り道を「黄道」と呼び、この周囲にあるのが12星座。
太陽はいつも同じ時期に、黄道上の同じあたりの位置をめぐるので、誕生日から、生まれたときに太陽がどの星座に位置していたのかを割り出すことができます。
これがいわゆるテレビや雑誌で使われる「自分の星座」
しかし実際の占星術では、太陽のみならず、生まれたときの月、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星といった、太陽系の惑星たちの配置まで合わせて読み解いていきます。
地球の自転軸は天球に対して23.43度傾いているため、1年かけて太陽のまわりを周回している途中に日照時間の長短と、それに伴う四季が生じます。
この周回の始まりの地点は、昼と夜の長さが同じになる春分。
北半球ではこの日を境に昼の時間が長くなっていき、それに伴って、日中の暑さが少しずつ増していきます。
昼の長さが最も長くなるのが夏至。
そこをピークに日の長さは短くなっていきますが、夏の暑さは本格的に厳しくなっていくでしょう。
暑さがようやく一段落して、再び昼と夜の長さが等しくなるのが秋分。
南半球ではここから春となって暖かくなっていきますが、北半球では秋が始まります。
最も夜が長くなるのが冬至。
陰の極みであり、ここから陽に転じるため「一陽来復」を願う日であることでも知られています。
日本は北半球でも絶妙な緯度に位置している国であるため、ちょうどこの春分・夏至・秋分・冬至あたりを境にして新しい季節が始まるでしょう。
この春分・夏至・秋分・冬至の時期に太陽が位置しているのが牡羊座・蟹座・天秤座・山羊座の各星座で、これらを「活動星座」「活動宮の星座」と呼びます。
宮というのは星座の位置する空間を指すのに使われる言葉で、占星術をよく登場します
春分・夏至・秋分・冬至という四つの地点は、太陽活動の切り替えポイント。
これまで夜の方が長かったものが、この日を境に昼の方が長くなるといった切り替わりがあるため「これまでの活動とは全く別の、新しいエネルギーを持ち込む地点」といえます。
まったく新しいことが始まる勢いに満ちていて、実際にこれまでとは異なる流れや循環を創り出すでしょう。
これを人の性格で例えるなら「次々と新しいことにチャレンジする人」「何か新しいことをしよう!!と、みんなに提案する人」と言えるかもしれません。
開始してから、ある一定の期間が経つと、また別のことがしたくなるような、新しいものに敏感である分、飽きっぽさがあるでしょう。
3ヶ月毎に、この季節の変わり目がめぐってくるため、世の中の流行や雰囲気を活動星座たちが創り出しているようなところがあります。
企業では四半期毎に業績を確認するでしょうし、洋服や CD や家電なども3ヶ月サイクルで新作が市場に登場します。
テレビ番組も3か月クールで編成されますし、季節の移り変わりと共に、人間の活動を活性化させるのに、この周期が合っているのでしょう。
新しい活動が始まるタイミングなので、この季節の移り変わりのポイントでホロスコープ・チャートを作ると、そこから「向こう三か月、どんなことが起こりそうか」ということを予測できます。
全ての物事には「対極の働き」がその内側に含まれていますが、活動星座にとってのそれは何でしょうか。
「始める」と同時に「終わらせる」働きが、そこにはあるかもしれません。
何かを始めるということは、代わりに終わらせるものがあるでしょう。
また何か新しいエネルギーを「持ち込む」ということは、外に対して「打ち出す」ということも、していきます。
例えば、この地域にまだないものをよそから持ち込むこともできると同時に、よその地域に自分たちの持っているものを打ち出すということもできるでしょう。
どんどん積極的に動いていく……ということは、同時に留まる力、止まる力もあるのかもしれません。
活動星座が動けない時は「何を始めたらいいのか」そのエネルギーの向けどころがわからない可能性があります。
勢いよくスタートしたものが、慣れてくるに従って惰性的になり、徐々に動きが鈍ってきます。
さらに停滞すると、エネルギーが留まり、新しい別の方向を探し始めることになるでしょう。
そして、これまでの流れを終わらせて、また新しく始めることになるのかもしれません。
「新しく始める」という動きの背後には、そのような流れがあるのでしょう。
春分・夏至・秋分・冬至のポイントは、黄道を4等分する十字を作ります。
さらにそれをケーキを8等分するように斜めに線を引くと、その各ポイントは立夏・立秋・立冬・立春となるでしょう。
これらの日はいずれも牡牛座・獅子座・蠍座・水瓶座の「固定星座」あるいは「固定宮の星座」と呼ばれる各星座のピークとなる日です。
これはそれぞれ5月6日頃、8月8日頃、11月8日頃、2月4日頃に該当しますが、いずれも春・夏・秋・冬の真っ盛り。
季節のピークに該当するこれらは「エネルギーを高めて、固定し、物質化する地点」と言えるでしょう。
そこに満ちているエネルギーを、ぎゅっと凝縮して集めて、維持しようとする働きです。
人の性格に例えるなら「ひとたび決めたことをやり抜く人」「同じ活動を繰り返すことで純度をますます高めていく人」と言えるかもしれません。
専門家・職人・オタク…といった、何かひとつの分野を繰り返して極めるような特質があるでしょう。
ある種のガンコさが継続性を高めるため、ひとつの物事を繰り返すことで「お約束」や「定番」を作り出します。
日本は世界最古の王朝を有する国であり、その建国は2月11日であり、固定星座の水瓶座。
万世一系の天皇をいただき、先進国で唯一、母音言語を公用語としています。
母音言語は多くの先住民族が話す言葉ですが、同一王朝が続いているからこその特徴ですね
他の国々の建国よりもザラに長い祭祀や文化を持ち、国民がいつの時代でも形を変えながら、それらを当然のように支えている国。
大御所アーティストのコンサートで必ずアンコールに歌われる曲や、ご長寿番組、年末の「ゆく年くる年」といった「お約束」は固定星座の力によって支えられていると言えるかもしれません。
この固定の星座の対極にあるものは何でしょうか。
「継続すること」の中には「やめること」が、含まれているかもしれません。
本当に物事を長く続けるためには、その時々によってやり方を変えたり、ある部分を止めたりといったことが必要となるでしょう。
「何かを極めること」「こだわること」の対極は「何でもいい」という柔軟さかもしれません。
「これでなくては」というこだわりは、ある意味まだ決まっていない時や固まってない時にこそ起こるのでしょう。
弘法が筆を選ばないように、本当に何かを極めると、どんなものでも対応できるような適応力が生じるのかもしれません。
逆に言うならば、自信が積み上がっていない時ほど「こうでないといけない」という思い込みを手放しにくいのでしょう。
また、自分の方向性が定まっていないときも「何をどのように積み上げていけば良いのかわからない」という優柔不断さが現れることがありそうです。
ひとつの分野を極めて、その全体を知悉することもできますが、その思いにとらわれすぎてより大きな視野からの全体性を見失うこともあり得ます。
そういった対極の働きが、常にひとりの人の意識の中にあることに気づいている必要があるでしょう。
春分・夏至・秋分・冬至の各ポイントから始まった季節を終わらせるのが双子座・乙女座・射手座・魚座の「柔軟星座」あるいは「柔軟宮の星座」と呼ばれる各星座たちです。
これらは春と夏、夏と秋、秋と冬、冬と春といったように「ふたつの季節を体験する時期」であり、また、そうであるがゆえに両方に対応できる準備が必要となるでしょう。
これらの星座の時期は体調を崩しやすく、風邪をひく人が増える時期ですが、1日の中に冬と春があったり、数日おきに異なる季節がやってきたりと、めまぐるしく天候が変動します。
人の性格に例えるなら「異なる状況に臨機応変に応える人」「全く別の活動を同時にこなせる人」と言えるかもしれません。
マルチクリエイター型で、ひとつの活動を黙々と続けるよりも、複数の仕事、役割、特技を持って、あちこちへと意識を切り替えながら進めることの方が得意でしょう。
環境の変化や要請に応えて、自分の立場や役割をサッと変えることができます。
多彩な変化に応えるために、より多くの知識や技術、物品を欲しがることもあるでしょう。
常に柔軟に対応するために、受け身がちで、自分から強く打ち出したり、決定することはあまり得意ではないかもしれません。
いわば緩衝材のような柔軟星座の質は、異なるタイプのあらゆる物事を連結させます。
長い時間をかけて何かを続ける時、あるいは大勢の異なるタイプの人々が集まって何かひとつのことをやり遂げる時、それらをくっつけて、バランスを取るために、柔軟星座の質が必要となるでしょう。
外からの求めに応じて自分自身を変えてゆき、次いで外の世界が変わるように働きかけていきます。
「応じる」「受け容れる」という質は「発信する」という対極を持ち、外の変化を促すことができるでしょう。
「決められない」「どっちつかず」の対極は「ある種のこだわり」であり「ガンコさ」ですが、ひとたび心が決まってしまえば「このようにしよう」「こうするべき」という、キチンとした対応策があるのかもしれません。
「同時にいろいろなものに対応する」反面「一度にはひとつずつしかできない」ところがあって、何かの専門性があって「深くじっくりと対応する」というよりも「広く浅く何でもできるけど、これという決定打に欠ける」ところがあり、それをコンプレックスに感じる人もいそうです。
柔軟性が高い分「弱気」になりやすく「自信がない」という気持ちに陥ることが多々ありますが、その割に「打たれ強く」簡単には諦めないような「粘り強さ」があるでしょう。
「活動星座」「固定星座」「柔軟星座」が、12星座を3つのグループに分ける「三区分」です。
こちらから、ご自身のホロスコープ・チャートを作ってみると、天体位置表の下に「活動・固定・柔軟」に配置される星をいくつずつ持っているのか、表示されます。
ホロスコープ・チャートには、地球から見える10の太陽系の惑星たちが、生まれた瞬間、空のどこにあったのかが記されています。
惑星たちが活動・固定・柔軟のどの星座の位置にあったのか、どれが多いのかによって、その人の個性を推測することができるでしょう。
どれが多いから良い/悪いということはなく、重要なのはバランスです。
自分自身の質を知り、どのように活かすことができるか、気にかけて調整することで、もっと能力を存分に発揮できるようになるでしょう。
活動星座が多い人は動いている方が調子いいし、固定星座が多い人は夢中になれるものがあると自分らしいし、柔軟星座が多い人は複数のことを同時に進めるのが合っているでしょう!!
執筆 占星術師・小泉マーリ