占星術のホロスコープ・チャートは「12星座」「10惑星」「アスペクト」「12ハウス」という四つの要素で構成されています。
前回の占星術講座(2)では12星座を活動・固定・柔軟の三区分にしたものの、それぞれの特徴をご紹介しました。
占星術講座(2) 星座の三区分
https://goisu.net/column/190601_1
今回は12星座を四つに分類して、その特色をご紹介します。
火・地・風・水の四つの要素は「四元素」あるいは「四つのエレメント」と呼ばれるもの。
この四元素の考え方は古代ギリシャにおける哲学から生じたもので、この地上を形作っている基本と考えられました。
固体(地)・液体(水)・気体(風)・エネルギー(火)で世界は成り立っており、それぞれに属する星座がその気質を帯びているとされています。
この内の火と風に分類される星座が陽の質を持つ男性星座、地と水の星座が陰の質を持つ女性星座となります。
世界を形作っている第一の要素となる「火」は、太陽から地上にもたらされる光源あるいは熱源です。
もし太陽の存在がなければ、地上のあらゆる生命が生じなかったように、それはあらゆる生命体に命を吹き込むエネルギーそのものといえるでしょう。
太陽が昇らなくなったら、地上のあらゆる命は死滅します。
全ての動植物がその生命体の内側に光を含んでいて、それは命の源。
光合成することのできる植物は、直接、太陽の光を取り込んで成長します。
光合成することのできない動物は、光を含んだ他の植物ないしは動物を食べることによって内なる命=光を維持するでしょう。
生きている動物は体の内側で細胞が活発に働いていますが、これは光を発していて、それが外気に触れると熱を発します。
生きている動物には熱があり、死ぬとただちに身体が冷えるでしょう。
火=熱が、わたしたちの命そのものです。
また命あるものは、その生命が生じた時から、死ぬ時まで、常に活動を続けています。
この【活動性】と【変化し続けること】が、火の星座の大きな特徴といえるでしょう。
地上の火は代理の太陽として働き、熱源・光源となりますが、燃え続けるには油や薪や炭といった、焚きつけるものが必要です。
そして、燃えることによって、それらを灰に変えていくでしょう。
「何か実際的な行為を通して活動し続けること」そして「自身が変容し続けること」
火は上へと向かっていきますから「上昇志向」があり、さらに他のものを寄せ付けず、何者も火を直接触れることができない「独立性」や「自立心」を持ちます。
壁や樹など、行く手を阻むものがあると、むしろ激しく燃やそうとする「反発心」や「抵抗力」が強く、そこには激しい「情熱」があるでしょう。
火は一瞬で燃え広がる「速さ」があり、それは「ひらめき」や「直観」の力となって、一気に核心に迫り、本質に触れることをうながします。
そのため「概念」を扱うことが得意で、実体のないものを目的とできるでしょう。
それはある種、自身の内なる霊性の目覚めとも関係します。
すでに灰になったものよりも、これから何を燃やすのかということに意識が向く「未来志向」であり、燃やすものを常に自身で決めて、主観で人生を切り拓いていこうとするでしょう。
火のエレメントは人生に活力をもたらし、情熱をもってチャレンジすること、いつでも成長して新しい自分になることをうながします。
より精神的に成熟することを望み、また他者の成長をうながすリーダーとしての質にもなるでしょう。
火のエレメントが強くなりすぎると、独善的で、他の意見を聴く耳を持たず、反対する者や邪魔する者を敵とみなして、力任せに倒していこうとするかもしれません。
押し付けがましく、活動過多で、衝動的な行動を止められず、ひとつのことを継続するのが難しくもなるでしょう。
火のエレメントが弱いとやる気が起こらず、人生に楽しみが無くなって、暗くなり、自尊心が弱く、卑屈で、自己否定的になり得ます。
内側で火のバランスをとることが大切です。
世界を形作っている「地」の要素は、地球という大地そのもの。
目に見える固体はすべて、地のエレメントに属するものであり、わたしたちの生命エネルギーの器となる「身体」に相当するでしょう。
地上のあらゆるものは、形ある器に命が宿って、生きるものとなります。
そして形あるものは、ゆっくりゆっくり時間をかけて変化するでしょう。
子どもは大人となり、大人は成熟して、老人となっていきますが、ある日に突然、別人の顔になったり、背が急激に伸びたり縮んだり、性別が変わったりすることはありません。
物質としての固体は、時がきて壊れたり、圧力を加えられて変形させられたりするまで、維持されていき、悟性的な質として「誰から見ても同一のもの」と、認識されるでしょう。
この「誰から見ても同一で、確実である」という、客観的事実に基づいた再現性が、地の星座の特徴です。
わたしたちの地上の営みが安定するように支えているものは、地の再現性といえるでしょう。
あらゆる物事は、誰もが同じ材料を用いて、同じ手順で扱うことで、同様の結果を得ることができます。
料理、洗濯、掃除、ものづくり、運転、書類を作る、仕事する、何かを学ぶ、運動する……あらゆることには手順があり、どんなものを使って、どのように身体を使うと、その結果が得られるのか。誰もが同じ方法を使って、物事を再現させることができるでしょう。
このような「確実性」と「物質的な成果」こそが、地の星座の司るもの。
確実な成果を得るために「マニュアル」や「レシピ」を参考にすることができるし、多くの経験を積んだ「プロフェッショナル」や「権威ある人物」から学ぶこともできます。
「時間をかけて実力を積み重ねていくこと」が大切であり、もしそれをしても結果が得られなかったとしたら、それは損失であり、激しく傷ついて「どこがいけなかったのか」と反省するでしょう。
地上のあらゆる物事は、この地のエレメントによる地道な繰り返しによる達成と、また失敗による反省からの改善によって、進化していきます。
ある程度の成功する見込みをつけてから行動を始める「合理性」があり、時間や物質やエネルギーの損失を避けるでしょう。
そのため「保守的」になりやすく、結果がどうなるのかわからない事は、進んでしたくありません。
確実に成し遂げるという点において「責任感」が強く、しかし同時にどこまで自分の責任の範囲であるのか、どれが自分のもので、どれがそうでないのか「境界」を明確にするでしょう。
社会性が高く、誠実で正直ですが、成果を得るために必要であれば、忖度したり、黙っていたりすることもあり得ます。
何か行動する時は、自分の経験を振り返り、また先人の経験を参考にしてから判断する「過去志向」であり、何をどれだけ積み重ねてきたのかということを大切にするでしょう。
地のエレメントの星座は、現実の中で自分を少しずつ成長させていき、地に足のついた安定した人生を送ることを助けてくれます。
より多くの価値を身につけて、さまざまなものを手に入れることをうながし、人生に豊かさと心地よさをもたらすでしょう。
地のエレメントが強くなりすぎると、物質的な成功にのみ意識が向けられて、実力のない者、荷物になる者を容赦なく切り捨てるような、ドライな面が際立ちます。
時に思いやりに欠けて、結果が出るか否か、有能か否かのみが基準のすべてとなるかもしれません。
地のエレメントが弱いと、継続性に欠けて、形になる前、結果が出る前に諦めたり、やめたりすることが増えるでしょう。
どんなことも時間をかけて成熟させることができず、知識も技術も他者への信頼も中途半端になってしまうかもしれません。
わたしたちが現実感覚を養うために、とても重要なエレメントです。
火と地のエレメントは対極の関係にあり、真逆の質を持ちますが、その両方を人生の中でバランス良く使うことが欠かせません。
わたしたちは人生の中で、さまざまな経験を積み重ねていくことが大切ですが、変化の時期を迎えたときは、思いきってチャレンジする必要があるでしょう。
社会の規律に合わせて、まわりからの信頼を得ることは大切ですが、新しいアイデアと開拓精神を発揮して、時代の変化に合わせて道を切り拓いていくことも大切です。
高い志を持って、世界へ飛び出していき、しかしそこで困難にぶつかったとしても、簡単には投げ出さず、先人から学んで、力を蓄え、乗り越えることで、大きな経験と結果を得られるでしょう。
火のエレメントを多く持っている人は地を、地のエレメントを多く持っている人は火を、それぞれ意識して人生に取り入れていくことで、本来持っている能力をより充実した形で使えるようになります。
世界を形作っている「風」は、地球を取り囲んでいる大気と関係しています。
大気が常に流れることで、地上のエネルギーは循環しているでしょう。
これは動植物にとっての呼吸に相当し、気体を吸い、また吐き出すことによって、わたしたちの体内のエネルギーは循環して、生命が活発に働きます。
呼吸が止まると、その循環の行き届かない場所から死に耐えることに。
わたしたちが頭のてっぺんから足の指先まで、自在に動かすことができるのは、生命が隅々まで循環しているからといえるでしょう。
そして大気のもうひとつの役割は、そこに空間を作り出し光で満たすことです。
地球に「昼」があるのは、大気圏が大地をおおっているからであり、ここから垂直に飛び出して大気圏を越えると、そこには夜しかありません。
空気の層が大地を覆うことで、そこに光が満ちて、昼が生じ、さまざまな活動が可能となり、いろいろなことを見つけ出すことができるでしょう。
「自由に動き回って循環させること」と「いろいろな角度から、さまざまなものを発見すること」が風の星座の特徴です。
風は決して「一か所にとどまらず」「いつも自由に動き回り」「何かを見つけ出して」は、それを別の場所へと運びます。
それは知り得たことを広めていく「拡散させる質」であり、風は多方向に同時に吹くため、「マス・コミュニケーション」のような、同時多発的な広がり方をするでしょう。
実際に風は集まっているものを各方面へ散らす働きがあり、それは一方向だけに向かわせることのない「多角性」を持ち「公平性」ともいえます。
さまざまな物の見方や価値観、考え方といった「多様性」を大切にして、どのような主義の人とも、仲良く付き合うことができるでしょう。
じめっとした深刻さを嫌い、軽やかさと爽やかさを持ち、誰に対しても「社交的」に振る舞います。
風のすばやさは頭の回転の速さでもあり、さまざまな物事がどのようにして成り立っているのか、そのつながりを見出し、理論的に説明できるでしょう。
軽やかな風は「好奇心旺盛」にどこへでも入り込みますが、同時にどこへも深入りすることを避けて、いつも「客観的な立場」でいようとするかもしれません。
どこか醒めた気持ちで世界を眺めているようなところがあり、どんなことでも分析して、いま何が起こっているのかを把握しようとします。
風のエレメントは、わたしたちの知性の働きと関わっているため、知り、考えて、理解することをうながすでしょう。
また知り得たことを秩序立てて人に伝える力であり、また他者からそれを受け取るコミュニケーションの能力を示してもいます。
風のエレメントが強くなりすぎると、いつもどこか冷ややかに世界を眺めて、分析ばかりを繰り返すことになるかもしれません。
世界で起こっていることも、他者のことも、客観的な分析と、それに基づく事実を繰り返し述べはしても、実用性に欠けて、言うばかりで責任を取らない可能性があります。
風のエレメントが弱くなると、考えをまとめて自分の意見をしっかりと伝えるということが難しく感じられるでしょう。
人の言っていることを理解するにも時間がかかり、物事の関連性を見出すことにも、なかなか気づきにくいかもしれません。
いま目の前の世界で起こっていることを把握して、さまざまなタイプの人たちを理解して、付き合う上で、風のエレメントの質は欠かせないものといえるでしょう。
世界を形作っている「水」の要素は、地上の大半を占めている海。
海水が太陽の熱で蒸発すると雲となり、それはやがて雨となって地上に降り注ぎます。
雨が降ると、それは山から降りて川となり、里を経て、また海へと戻りますが、その過程において、恵みの水は陸上の動植物の営みを潤すことになるでしょう。
すべての動植物が、水から離れて生きることができません。
また最初の生命体が海から誕生したように、水は生命を育むための媒体。
胎児もお母さんのお腹の羊水の中で育まれます。
わたしたちの身体も大半が水分であり、数日食べなくても死にませんが、水を飲まずにいると命の危機に陥るでしょう。
生命を維持するために欠かせないものが水です。
水は液体であり、自立することができないため、留めておくには器が必要です。
常に「流動的」で「繊細」で「揺れやすく」少しの振動に反応して震えるでしょう。
他の液体と「容易にくっついて」一度混じり合うと「分離は不可能」
ふたつの水を混ぜてしまうと、もう分けることができません。
水はまた、他のものを受け容れる媒体となります。
簡単にさまざまなものを溶かし、転写するため、お茶を通せばお茶に、コーヒーを通せばコーヒーに、それに牛乳を混ぜるとコーヒー牛乳になるでしょう。
影響を受けやすく、すぐに他のものと混じり合いますが、放っておくとすぐに腐ってしまいます。
これは、わたしたちの内なる心の働き、感情、愛情に相当しますが、ここから心の難しさ、複雑さ、あるいは単純さが伺えます。
ハッピーな人と過ごしていると心地よくなるし、イライラしている人がそばにいると、こちらもイライラするか、ナーバスな気分になることがあるでしょう。
言葉にせずとも、感情は容易に混じり合い、どちらのものか、すぐにわからなくなります。
その「共感性」の質は「やさしさや思いやり」を他者にもたらし、また、さまざまなものを養育しようとしますが「気分は常に流動的で移ろいやすく」感情には波があるでしょう。
繊細な感受性は、目には見えないものの存在を容易にとらえることができます。
雰囲気や空気に敏感で、心理的なものを感性で理解するでしょう。
それは完全に主観に基づいていて、再現性がないものの、本人にとっては合理的な理由となり得ます。
内なる世界観を大切にし、情緒を安定させるために、その世界観に基づいた理論を前提に、外側の人々や出来事と対峙するでしょう。
その世界観に共感する仲間を集める才能があり、ひとたび人と結びつくと、そこに惹かれ合う感情がある限り、離れることがありません。
どんなことでも、そこに共感できて、気分が安定するような感情的な理由があると、関わりがたやすくなりますが、気分が不安定になると即座にやめたくなるかもしれません。
情緒の不安定さから、自分を支えてくれる器を求めるため、多分に依存的にもなりやすいでしょう。
水のエレメントは、わたしたちの愛の源泉であり、人を愛し、信頼し、関係を育みます。
親は子を愛し、成長すると友人を作り、誰かを尊敬して、知り合った他者を愛するようになるでしょう。
水のエレメントが強すぎると、自分のまわりを思い通りにコントロールしようとする力が強くなり過ぎるかもしれません。
好き嫌いが非常に激しくなると同時に、世話する力が「言うことを絶対に聞かせたい」というような押し付けになり得ます。
また感情のアップダウンが激しくなり、まわりを落ち着かない気持ちにさせることもあるでしょう。
水のエレメントが弱いと他者の気持ちを逆なでするような無神経な言動が増えて、他者と深く関係を持つことに面倒くささを感じたり、避けたりするかもしれません。
水のエレメントは人と人とを結びつけるもの。
人間としての営みに、決して欠かすことができません。
風と水のエレメントは対極にありますが、このふたつの要素をバランスよく使いこなしていくことが、自分の内と外との関係、そして人間関係において欠かすことができないでしょう。
水のエレメントは愛する人のお世話を献身的にする反面、好き嫌いのムラがあり、ひとたび揉めて相手を嫌うと「もう二度と何もしない」と、人生からその相手を排除しようとするところがあるかもしれません。
そのようなとき、風のエレメントを使って、自分とは異なる相手を理解し、また自分に何が起きたのかをきちんと言葉で説明することが、人間関係を継続する上で大切です。
風のエレメントは誰とでも気さくに関わり、仲良くなりますが、ひとりの相手としっかりと真剣に向き合うことに対して「重さ」や「面倒くささ」を感じて、逃げ出したくなることがあるでしょう。
そんな時は水のエレメントを人生に招き入れて、特定の相手とハートからの共感を通して結びつくこと、本音を伝えることも大切です。
このふたつのバランスがとれるようになると、さまざまなタイプの人たちと持ちつ持たれつ、人生を楽しく、時に苦労を分かち合いながら、共に歩んでいくことができるでしょう。
こちらのリンクから自分自身のホロスコープチャートを作ってみて、自分の星の持っている四つのエレメントの数を確かめてみましょう。
全員の人が、その内側に火・地・風・水のすべての要素を持っていますが、生まれた時の惑星たちがどのエレメントに属するかによって、より顕在的に表に出てきやすい質が見えてくるでしょう。
エレメントの数の多いものを長所として活かしつつ、その対極のエレメント(火には地、風には水)を意識することで、より良さが活きてきます。
また数の少ないエレメントは後手にまわりやすい気質ですから、こちらも意識してみること、あるいはそれを多く持っている人に補ってもらうことでバランスが取れてくるでしょう。
いずれにしても、自分はどの気質がより活かしやすいのかを知ることは、人生を拓いていくのに役立つはずです。
執筆 占星術師・小泉マーリ