占星術のホロスコープ・チャートは「12星座」「10惑星」「アスペクト」「12ハウス」という四つの要素で構成されています。
「12星座」を1星座ずつ、詳しく掘り下げていくシリーズ、今回ご紹介するのは「牡牛座」
エレメント:地
クオリティ:固定
守護惑星:金星
キーワード:アイハブ
牡牛座のテーマはズバリ「知識や技術を徹底的に身体に覚え込ませた上で、心地よく安定した人生を送ること」です!!
1番目の星座である牡羊座は、とにかく、あふれんばかりのエネルギーを、さまざまな方向に向けて、たくさん経験し、その結果として自分らしさに目覚めていきました。2番目の牡牛座では、そのエネルギーを「身体」という、たましいの器の中に、がっつりと捕獲するところから始まります。
大地の象徴である「地の固定の星座」の牡牛座は、エネルギーを受け止める器であり、基盤。地球という惑星も、さまざまな動物も、そして人間も、生きたエネルギーを活かすための身体があってはじめて、物理的に存在し、活動することができるようになります。あちこちに散らばろうとするエネルギーに器を与えることで、安定した活動領域と継続力をもたらすのが牡牛座の役割です。
「身体」と、そこに付随する「体感覚」を使いこなすことが、牡牛座にとってのテーマとなります。12星座の中でも、動きがゆっくりしているように見えるサインですが、決して鈍いわけではありません。むしろ、丁寧な動きによって、ひとつひとつを実感として確かめ、味わい、手ごたえを得ているのでしょう。五感をはじめとする、あらゆる感覚に対する鋭敏は、むしろ他の星座よりも際立ちます。
抽象的な概念や知識を、実際のものとして使いこなすために、現実の中で身体を動かし、経験して「何をどのようにしたら、どうなったのか」という過程と結果とを、ひとつずつ身体に落としこんでいきます。同じ行為を何度も反復することで、その手法を体得し、知識を「生きた知恵」へと変性させていくでしょう。
経験しながら、身体で得ていくため、覚えるまでには人よりも多くの時間を要するかもしれません。しかし、ひとたび、自分のものとなった知識や技術は、いつでも自在に使いこなせるようになるでしょう。また、くり返し、使っているうちに、さらにより結果が充足するように工夫して、洗練させていくことにもします。得意とする分野において、技術を極めたり、独自の哲学観を持つようになったり、美意識を発達させたりできるのは、この反復の賜物です。
技術や知識と実際的に「同化」することで、その技術や知識の本質そのものを理解するでしょう。また経験が積み重ねられる過程において、精神的な部分も同時に磨かれていきます。すると、自分の得意分野だけでなく、それ以外のものに対しても、秘められた本質を鋭く見抜くような審美眼が養われるでしょう。何かの達人は、あらゆる道に通じるということがありますが、それはまさに牡牛座の神髄です。
そのように技術や知恵を自分にとって心地よいベストなやり方で体得して、快適な日々を作り出していくことが、牡牛座にとって、ひとつの目的です。日常生活とその環境が、馴染みよく、快適で、心地よいものになるほど、心が安定していくでしょう。安定しているときの牡牛座は、とても温厚でおおらかな人柄となって表れ、周囲の人たちと関わります。
しかし身体にとって不安定な状態……心地悪く、馴染まず、不快なときは、機嫌の悪さを隠さず、他者を拒絶するようにもなるかもしれません。馴染みある環境を離れたり、得意なやり方を変えなくてはいけなかったり、心地よいものを手放したりすることにも、大きなストレスを感じるでしょう。反復することで安定する牡牛座にとって、自由や解放は、むしろ不安感を招くことにもなるのです。
自分のやり方とペースで快適さを確保する牡牛座にとって、それを充分に堪能するためには、ひとりでいるほうが心地よいこともあるでしょう。他者の存在が自分のペースややり方を乱すのであれば、むしろ放っておいてほしいときもあるかもしれません。温厚に他者と関わる性質ですが、積極的に社交したり、他者から賞賛されたりすることよりも、自分の感覚で世界と関わることを好むでしょう。
ただし、感覚的な快楽を味わうことを信条とする牡牛座にとって、愛する人とのセクシャリティな体験は自分を大きく満たすもの。そのためのパートナーが必要となりますし、ひとたび愛する人と心地よい関係を築いたら、滅多なことで心変わりすることはないでしょう。牡牛座は他の星座以上にひときわ高い官能性を極める可能性があり、デートや旅行も、より心地よさが堪能できるものを選ぶ可能性があります。
牡羊座と牡牛座という最初の2星座は、12星座の最初の陰陽のペアを象徴であり、生きたエネルギー(牡羊座)が、身体という器(牡牛座)に宿って、生きた人間となっていることを示しています。ここは自分自身が何者であり、どんな可能性を持っているのかを探る段階。他者や社会と関わって、自分を成長することは、それ以降の星座のテーマとなります。
牡牛座は12星座の2番目の星座であり、身体の感覚に目覚めていき「生まれ持った才能を活かして豊かになること」を目指していくサインです。
そのため、次のような成長段階を経て、成熟していきます。
最終的に牡牛座は自身の内側に価値を創り出して、いつでも必要な時に必要なだけ、世界と自分自身の環境を心地よく豊かにすることに成功します。世界に美しいものを見出して、心地よく暮らすことができるようになるでしょう。
牡牛座が秘めている才能には、次のようなものがあります。
これらの能力を使いこなすことで、みずからを成長させられるでしょう。
牡牛座がポジティブ/ネガティブとなる事由には、次のようなものがあります。
体感覚にすぐれ、反復しながら、実際的な成果を出すための手法を構築する牡牛座の得意なことは、ひとつの決まった分野における技術や知識を、延々と繰り返して実用すること。そして、より洗練された成果を出していくことです。極めることができる職人気質であり、ひとたび技術を体得すると、少しずつ新しいやり方を試して改良し、自分にしかできない手法へと昇華させていけるでしょう。
自分だけの手法を確立させることに成功すると、その価値観から、あらゆるものをはかることができるようになります。それは独自の世界に対する物の見方。実践に基づいているため、そこには説得力があるでしょう。
まさに「体得」といった言葉がふさわしく、知識としてだけで理解するのではなく、結果を伴う実際的な経験として、技術を習得していきます。それを延々と反復して継続することは苦にならず、むしろ、やり方を他者によって変更させられることのほうが苦痛でしょう。
何事も自己流にカスタマイズしたがるため、他者から干渉されず、自分のやり方とペースが守られる環境だと働きやすいでしょう。うるさく、ごちゃごちゃする場所だと落ち着かないので、ゆったりと心地よく過ごせる場所で作業に集中できるとやりやすいかもしれません。
「わたしは所有する(アイハブ)」のキーワードを持つ牡牛座は、12星座で一番蓄財の才能を持つ星座。そのカギは「自分が価値を有すること」にあるでしょう。職人になれば食いっぱぐれることはなくなりますから、それこそ「自分が価値を有する」といえるかもしれません。
美しいもの、豊かなもの、好きなものをたくさん蓄え、それらに囲まれて過ごすことが牡牛座にとって、ひとつの目標です。「生きる喜びを身体で味わう」ために生まれてきた星座。たくさんの価値を身につけて、豊かさに囲まれて生きることを、ひとつの指針としても良いかもしれません。
牡牛座が求めている愛し方/愛され方は次のようなものとなります。
執筆 占星術師・小泉マーリ