占星術のホロスコープ・チャートは「12星座」「10惑星」「アスペクト」「12ハウス」という四つの要素で構成されています。
「12星座」を1星座ずつ、詳しく掘り下げていくシリーズ、今回ご紹介するのは「乙女座」
エレメント:地
クオリティ:柔軟
守護惑星:水星
キーワード:I serve
乙女座のテーマは「世界をより美しく、完全に機能させること」
6番目の星座である乙女座は、個人の完成をめざしていくサイン。その次にやってくる7番目の天秤座から外の世界との本格的な関わりが始まっていくため、ここではそれに備えて、自身の質を最高にまで磨きをかけていきます。実際の社会のなかで現実的に役立つ知識や技術を身につけ、高いレベルをめざしていくでしょう。
柔軟宮の星座でもある乙女座は、自身のおかれている環境において、より完璧な有能さを発揮していきます。まわりの環境に順応したうえで、その時々のベストを尽くすでしょう。
自分自身も、自分を取り巻いている環境も含めて、あらゆるものを機能させようとする乙女座にとって、現実的な感性や、より実用的であること、効率的にすばやく結果を出すことが大事なテーマです。有能であることに意義を見出しますが、それは大抵の場合、外からの評価よりも、成し得た結果に対して、自身が納得できるかどうかという観点で達成されるでしょう。たとえまわりが「十分だ」といっても、自身が「まだまだ」と思っている限り、そう簡単に納得できない、完全主義者なのです。
それゆえ、何事に対しても慎重になりやすく、見積もったときに「完璧に成し遂げる自信」がなければ、簡単に手を伸ばすようなことはしないでしょう。すでに知っていること、できるであろう予想がつくことに対しては受け容れていきますが、未知の課題にパッと取り組むことはできません。また、たとえ有能であったとしても、個人の決断に確信を持たないため、外からの要求や圧力を感じると、そちらに合わせていくことも多いでしょう。
乙女座は社会に適応する自分を完成させていく星座なので、誰から見てもしっかりしていて、常識人でいようとする部分がありそうです。自分の内側にある本音や感情やマニアックなところは、社会的な環境においては必要ないため、脇に置くか、隠します。いま、置かれている環境に応じて、必要なペルソナを創り出し、個人としての主観をひっこめるのです。他者と社会から受け入れられているということが大切で、そこに個人的感情や主観は不要なのでしょう。
しかし、あまりにも環境に適応することばかりを優先し過ぎると、どんどん感情や感覚から切り離されていき、本当はつらくて苦しいときでも、それを表現できないということが起こりかねません。大変な状況においてもガマンを重ね、体調を壊して、ようやく解放されるということになりかねないし、ストレス下にいるときに、何をしたいのか、何を感じているのか、見失うようにもなるでしょう。周りからの求めに応じることと、自分の内側で起きていることのバランスをとることが、乙女座が健やかに過ごすためのポイントといえそうです。
乙女座にとって、まわりからの要請されるどんなことに対しても対応できる人間であるということは、ひとつの理想でしょう。そして求められたものに、しっかりと結果を出すことを望むため、勉強もするし、技術も磨いていきます。その過程において『どうしたら成果を出すことができるのか』というノウハウに精通し、より実用的なマニュアルを作ることにも成功します。
有能さを余すところなく発揮する乙女座ですが、実力以上に自分を大きく見せることはありません。むしろ持ち前の分析能力と批判精神で、現実的かつ客観的に自己評価をくだし「できることと、できないこと」を冷静に見極めます。そこには主観や感情が入ることはなく、淡々と事実を見る厳しさがあるでしょう。
逆にいうと、それほど乙女座は正直さと正確さを重んじているといえるかもしれません。支配星である水星が正しい情報を正確に使うことを象徴し、世の中にある便利なツールやアイテムの扱い方や、技術をマスターして、社会で求められている役割を責任をもって果たし、信頼される存在でいようと努めるでしょう。傍から見ると責任感が強く、どんな要求にも淡々と応えているように見えるかもしれませんが、その内面では常に冷静な批判と分析をくり返しながら、自分に厳しく、反省を重ねて、より精度の高い結果を出すことに邁進しているはずです。
目の届くあらゆる範囲を隅々まで管理して、機能させることが乙女座の理想。あらゆる場所を改善して、使い勝手が良くなるように、動線が良くなるように、効率的になるように、調整していきます。そこには独自の機能美を追求する美的基準があるかもしれません。
しかし、もし思い描く完璧さを再現できないのであれば、まったく手をつけないのもまた乙女座。中途半端にするぐらいだったら、そこは責任の範囲外としたいのです。どこからどこまでが自分にとって責任の範囲なのかということを、きっちりと線引きして、やれないことはバッサリと切り捨てます。
何事に対しても見落としがないか、徹底的にこだわる性質が、注意をどんどん細部へと向けることになるでしょう。引いて見ることより、近寄って見ることのほうが得意で、大局を見定めることはあまり得意ではないかもしれません。万事を慎重に進めるため、計画を緻密に立てますが、それでもうまくいかなかったときは、深く傷つき、悩むでしょう。乙女座にとって、コントロールできない事柄は不安へとつながり、完璧に管理・統率できる自信がない限り、手をつけようと思えないかもしれません。
そのため、社会のなかで役立ちたいと思うけれど、容易にトップに立ちたいとは思わないでしょう。自分が把握できる範疇をすこしずつ広げていくことで、実力を身につけながら、一歩ずつ昇っていくのです。
自分を取り巻いている世界のあらゆるものが、それぞれの目的において、実用に紐づけられていることが、乙女座にとっての美しい世界。日々、季節が移ろうなかで、淡々と調律を続けていく職人気質が冴えるサインといえそうです。
乙女座は12星座の6番目の星座であり、外側の世界の求めに応じて「どんなことでも、自分の手で達成させること」を目指していくサインです。
そのため、次のような成長段階を経て、成熟していきます。
最終的に乙女座は、世界で起こるあらゆる状況に対応していく能力を身につける資質があります。どんなときであっても、そこで起こる、さまざまな状況に対して、最高の結果を創り出すことができるでしょう。
乙女座が秘めている才能には、次のようなものがあります。
これらの能力を使いこなすことで、みずからを成長させられるでしょう。
乙女座がポジティブ/ネガティブとなる事由には、次のようなものがあります。
乙女座の持ち味はなんといっても、その勤勉さ。いま、必要とされていることをどこにいても的確にすばやく見極めて、それに応じようとするでしょう。足りない技術や知識があれば磨きをかけて、無理するようなことは決してしません。いつも自分の足りないところを埋めようとする努力家であり、着実に一歩ずつ実力を身につけていく堅実派です。
自分の責任でまかされた範囲の仕事に関しては完璧にこなしたいという欲求があるため、まずは身のまわりを整えることから始めるでしょう。仕事しやすいように道具のお手入れをして、効率的に動きやすいように動線を整えることも乙女座の得意分野。あらかじめ、しっかりと環境を整えることで、作業に集中できるようにするのです。
そして自身で成し得たことを経験的に、どういう手順でそれを進めるといいのか、誰が見てもわかりやすいようなマニュアルに記すのも得意。自分がやってみて良かったことを、誰にでもやりやすい形で提供するのです。
そのように、あらゆるものが機能するように整えて、しっかりとした結果をもたらすことができるため、どんな仕事についたとしても管理責任者として有能な人材です。頑張って働いたことに対して、実力が認められ、評価されることで、さらに高いレベルをめざして頑張っていくことができるでしょう。
実力を発揮するためには、そのような環境が整っていることが何よりも大切です。自分の身のまわりの範囲は自分で整えますが、職場そのものの環境が整然としていないと、やりにくさを感じるかもしれないし、キチンと評価を冷静にくだしてくれる上司が必要です。
またオーダーされたことに対しては忠実ですが、基本的には個人プレイヤーなので、人に干渉されたり、他者の責任まで背負わされるようなことは好まないでしょう。きちんと責任の範疇がどこまでなのか、線引きされているといいかもしれません。
努力家で高い実力を身につけていくため、その進度に応じて、見合った報酬や役職が得られるでしょう。複数のスキルや業務を兼任するのも得意です。
乙女座が求めている愛し方/愛され方は次のようなものとなります。
執筆 占星術師・小泉マーリ