占星術のホロスコープ・チャートは「12星座」「10惑星」「アスペクト」「12ハウス」という四つの要素で構成されています。
「12星座」を1星座ずつ、詳しく掘り下げていくシリーズ、今回ご紹介するのは「天秤座」
エレメント:風
クオリティ:活動
守護惑星:金星
キーワード:I balance
天秤座のテーマは「対人関係を通して、自身を洗練させること」
天秤座は7番目の星座で、12星座の折り返し地点。前半の6星座で磨き上げた個人の資質を、後半の6星座では社会のなかで人々と関わりながら活かしていくことが始まります。
天秤座においては実際に多種多様な人たちと出会っていき、そこで自分を表現し、相手からの反応によって自分を磨いていく……というプロセスを体験します。そうすることによって元々持っているものを開花させながら、自分の持っているものを、ちょうど良いバランスで表現することを学ぶのでしょう。
天秤座は孤立した状態では、自分を磨くことができません。自身のいまの姿を映し出してくれる鏡として、常に他者を必要とするのです。それもできれば、さまざまなタイプの人たちと関わることが大切です。いつも同じ限定されたメンバーと関わっていると、彼らの求める範疇のなかでしか自身を引き出すことができませんが、より異質な個性を持っている人たちと関わることで、より広範な人々に対して適応できる資質を磨くことができるのです。そして「どこの誰とも調和的に関わることのできる質」を身につけることも、天秤座の持っている才能のひとつなのです。
社交と関係する天秤座ですが、それは相手の様子を観察して、合わせることから始めていくことになるでしょう。失礼のないように、相手の雰囲気やペースを見て、あたかもオウム返しをするかのように合わせていくことで、バランスをとっていくかもしれません。はっきりいう相手には明確に、ゆっくりいう相手にはゆっくりと。そうすることで相手に「心地よい」と感じさせ、両者のあいだにつながりと信頼を築いていくのです。
まだまだ経験が少なく、それゆえに社交術が磨かれていない間は、強引な相手にノーといえずに巻き込まれたり、振り回されたりして、バランスを崩し、疲弊したりすることもあるかもしれません。そのときに「もう対人関係はコリゴリだ」と感じて、人付き合いをやめてしまう天秤座もいるでしょう。
そういう意味において、天秤座=対人関係が最初から得意、というわけではないのです。失敗も含めて、幾度も関わりを繰り返していく過程のなかで、すこしずつコミュニケーション能力が磨かれていきます。これまで会ったことのないタイプの人たちと知り合っていくことで、こちらにも、あちらにも、対応できるような幅広い社交性を獲得していくことになるでしょう。
対人関係がこなれてきて、磨きがかかると、言いたいことを言っても嫌われなかったり、自分の望みを相手の口から言わせたりするようなテクニックも習得できるかもしれません。誰からも自然と好感を持たれながら、同時にイニシアチブをとることもできるようになるのです。
風のサインでもある天秤座は、基本的に誰もが自由で、個々の個性を発揮し、色とりどりの鮮やかさを放つように、それぞれの意見や信条を発言することを歓迎します。それらをお互いに尊重し合ったうえで、誰もにとってベストの調和的な関係を築こうとするでしょう。ひとりひとりが平等に意見を口にすることを大切にする正義感の持ち主であり、また、その違いを観察することを楽しみもします。
多彩な意見や価値観があると、何が真実で正しいのか、わからなくなりそうですが、そこに共通項を見つけ出すこと、ちょうどいいバランスを導き出すことが、天秤座にとっての理想です。その場にいる全員にとって「過不足ない、調和点」を探ることを、求めているのでしょう。
天秤座の支配星は金星で、美意識や調和を象徴します。天秤座にとっての美意識とは、まさにその「行き過ぎず、少な過ぎもしない」ぴったりのポイントを見つけ出すことにあります。関係でも、何か創り出すことでも、自分を装うこと、才能を発揮することにおいても、表現されるのに最もふさわしい、美しい一点に辿り着こうとするでしょう。画家がキャンバスに空をどこまで描くのがふさわしいのかを見つけ出すように、その絶妙な配置を探ります。
そのためには絶えず、外の世界の反応や、比較する他者の存在が必要となります。外と内のバランスを見つけ出すことも天秤座の役割ですから、調和をはかるために常に外と関わり続ける必要があるのです。
多くの人と出会い、交流するほど、その「平均値」としてのバランス感覚が磨かれていき、個性が洗練されていくでしょう。そうして、どこへ行っても、誰といても「突出し過ぎず、しかし引っ込み過ぎることのない自分」でいることを創り出していきます。
コミュニケーションをはかることで、お互いの本質を引き出すことができるため、心理学やコンサルタント、コーチやカウンセラーといった分野に適性があるでしょう。あるいは接客やセールス、教員などにも向いていて、あらゆる対人関係において、天秤座の質は欠かせません。
美しくあることやアート、調和を愛し、それを関係性のなかにも、日常のなかにも必要とする天秤座。そこにベストな調和点を見つけ出すことが、より洗練された人生を創り出すことにもなるでしょう。
天秤座は12星座の7番目の星座であり、外側の世界と関わりながら「バランスのとれた、洗練された自分になること」を目指していくサインです。
そのため、次のような成長段階を経て、成熟していきます。
最終的に天秤座は、どんな状況においても調和できるバランスを、自身の内側と、外との関係において見出すことができます。それによって、外側の世界に適応しながら、その時々に応じて自分を刷新することができるでしょう。
天秤座が秘めている才能には、次のようなものがあります。
これらの能力を使いこなすことで、みずからを成長させられるでしょう。
天秤座がポジティブ/ネガティブとなる事由には、次のようなものがあります。
賢く器用で、まわりとの調和をはかることが得意な天秤座は、どんな職場に入っても、その場の雰囲気を察し、合わせていくことができるでしょう。そういう意味において「どこにおいても活躍できる逸材」といえます。
ただし風の星座は動きが合った方がイキイキとするので、固定化された作業で、ジッとしていることよりも、人が入れ替わり、適度に動きと社交がある仕事だと、よりやり甲斐を感じられるでしょう。
自由で公平にひらけたコミュニケーションが得意なため、大勢の会議をまわしたり、接客や営業、相談窓口、カウンセリングなどには特に適性があるでしょう。あまり社交が得意でないと思っているタイプの天秤座の人も、数か月やってみると「意外と合っているかもしれない」と思えるかもしれません。
話をよく聴こうとするため、相手のニーズに合わせて必要なものを提供できるし、かといって譲歩し過ぎることもありません。そこにバランス感覚があるのです。しかも嫌味な雰囲気はまったくなく、誰を相手にしても調和的なムードを持ち込むことができるため、どんな相手にも、それなりに充実した満足感を与えることができるでしょう。
対話を通して、相手の欲しているものを知り、満たすことができると同時に、そこにさりげなく自身のリクエストや望みを入れ込むこともしていきます。「押し付けずに営業できる」という強みがあります。そしてお互いに「持ちつ持たれつ」の関係となって、うまく付き合っていくことができるでしょう。
美意識が高く、場を美しく整えたり、相手の持っている本質を引き出すことができます。さまざまなものに対して客観的な視野から、調和をもたらすことができるでしょう。
ガツガツとやり過ぎることは好きではありませんが、まわりから浮かないように努めるため、どれくらい稼げるかは、環境によって変わります。まわりに意欲とレベルの高い人が多ければ、それなりに精度を上げて臨むことになるでしょう。
多くの人から愛されるため、上司から可愛がってもらったり、お客さんから贔屓にしてもらったりというボーナスがありそうです。
天秤座が求めている愛し方/愛され方は次のようなものとなります。
執筆 占星術師・小泉マーリ