一個人として「自分」を確立させることがテーマの牡羊座に土星があると『他者との関係において、いかに自分自身で在り続けることができるか』という主題が生じるでしょう。
牡羊座とこれを支配する火星にとって、自分の意志を示すことと、それを貫くことはとても大切です。意志や行動で他者を否定したいのではなく、ただ自分の内から生じる思いを認めてほしい、受け入れてほしいのです。
しかしこの配置の土星を持つ人は、しばしばそれが叶わないこと……意志が否定されたり、行動が制限されたりする経験をしやすく、そのことから他者とのあいだで寛いで、自分を正直に表現することが難しくなります。
過去の経験からあなたの土星がとらせる行動として、いくつかありますが、そのひとつとして『他者から何も言われないように、より強い意志で周りを圧倒する』というものがあります。力で封じ込められたなら、それを上回る力を持つことで、自身を誇示して、誰からも指図されないようにするというやり方です。
あるいは逆に『誰からも支配されないように、自分の内に閉じて、他者から独立する』という方法をとるケースもあります。しかし、もしそのようにしたとしても、生きていくうえで誰とも関わらないことは不可能ですから、その狭間において、強烈な孤独を感じることもあるでしょう。
このふたつが牡羊座土星の人が体験する可能性のある、ふたつの極です。アスペクトやチャートの配置によって、極端に出る場合と、少なく表現されたりするでしょう。
牡羊座の土星を持つ人にとって、父親との関係は非常に大切で、もし良好といえない経験があるなら、よりフラストレーションが大きくなり、人付き合いの難しさが増します。
この場合は第三のケースとして、常に強烈な力を持っている誰かの下に置かれるという可能性があり、父親から先生、先輩、上司、夫や義父といった形で、権威的な人物が入れ替わり人生に出現し続けて、彼らとの関係の難しさを体験するかもしれません。そこで自分の意志は封印され続けて、代わりに決定権を誰かが握ります。
牡羊座の土星が時間をかけて身につけていきたいものは、自分で問題を解決する力であり、物事を判断して道を切り拓く強さです。
それは自分の中でしっかりとした基準となる構造を確立させることでもあり、何をすることが正しくて、何が間違っているのかという秩序を持つことを好むでしょう。
しかしその独立心が強くなるあまりに対人関係を必要としなくなり、他者とつながり、愛し合うことがなくならないように注意が必要です。
また構造にとらわれすぎると、今度はそれを基準に他者を批判したり、コントロールしたくなったりするかもしれないので、そのことにも意識を向けておきましょう。
しっかりとした意志を持ちながらも、他者のそれを尊重し、自分ひとりでも行動できるけれど、他者と協力して活動することも楽しみ、必要であれば主張するけれど、しかし独善的になりすぎないようにオープンな対話を続けること……。
牡羊座の土星は他者との関係の中で磨かれていき、強く、独立し、愛に満ちた自身へと統合されていくのでしょう。