揺らぐことのない、どっしりとした大地を象徴する牡牛座に土星があると『いかに人生の中心を支えてくれる土台を持ち続けることができるか』という主題が生じるでしょう。
この配置を持つ人にとって、どーんと構えていて、決して変わることのない場所や物、人との関係というものが、とても大事な要素となってきます。
それがあるということが、本能的なところからやってくるサバイバルへの安全欲求と結びついているので、とても強力に働き、時に思考や意志を凌駕して影響することもあるでしょう。
「好きではないのにやめられない」「心地よくないのに離れられない」といったように、思考や感情ではノーだとわかっていても、それがなくなってしまう恐怖のほうが上回って、手放したり、新しい一歩をなかなか踏み出せなかったりすることが多々起こるかもしれません。
すべてから自由になって解放されると、何の基盤もなく、どんな役割や責任とも結びついていないことに、かえって不安になりそうです。
人生の中心に揺らがず、安全な感覚を与えてくれるものがあって欲しいのです。そのためには多少の心地悪さや厳しさ、困難さがあったとしても、そこに居続けるための努力をするでしょう。
そこには忍耐強さがありますが、感情が揺らされ、多少の苦しい思いがあったとしても、それを失う損害のほうが大きく感じられるのです。
その一方で安全を求めるあまり、持つべき責任や基盤を最少に留めようとする場合もあるでしょう。持つものが少なければ失う可能性も低く、最初から期待しなければ、傷つくことがありません。
遊牧民のように持ち歩けるだけの価値をすべて身につけていれば、誰からも奪われる心配もなくなるでしょう。
この『誰からも奪われたくない』という感覚が、ときにこの配置の人に、他者と分け合うことを難しくさせますが、それはケチだからではなく、いつもどこかで充分ではないと感じやすい傾向があるためです。
求めているだけのものが充分に得られないかもしれないという恐れが、あるものにしがみつかせもするし、より多くを得るためには努力し続けなければいけないと思いこませるでしょう。自分が欲しいものを持っている人に対して、嫉妬を催させもします。
牡牛座の土星を持つ人が時間をかけて身につけていきたいことは、世界を信頼することと、充分に愛されていることを認めること。この地球に生まれたすべてのものは、地球で生き延びることができるからこそ、生まれてくるのです。
そしてそれはまた、自分がそれだけの力や価値を持っていることを信頼して、自分を愛することでもあるでしょう。
恐れから働くのではなく、自分の成長を楽しんで、のびのびと育むこと。そしてみずから生み出すもので世界を豊かな場所にしていくこと。自分の持っているものを他者と分かち合い続けることが、持続可能な安定感を生み出します。
牡牛座の土星は自身の価値と愛と力を磨き、それを他者と分かち合うことを通して、揺らぎのない自分自身へと統合されていくのでしょう。