【自分の内側の深いところにある、強くて激しい感情をどのように扱うか】ということが、蠍座の土星を持つ人にとってのテーマといえそうです。
心の奥深くに、喜怒哀楽のどれにも属さないような、濃厚な感情が横たわっています。
それはこれまでの人生の、さまざまな状況や対人関係のなかで生じた深い欲求や、抑えこんできた思いの塊。
それは他の感情と同じように、存分に感じて、解放されることを求めています。
しかし、それはあまりにも重く、自分でも見たくない感情であり、自分自身の影。
ひとたび、それを見てしまうと、積み上げてきた自分が虚構となり、崩れてしまうかもしれないため、気づかないフリをして無視したり、抑えこんだりすることがあるでしょう。
すると、その感情は、はけ口を失って、本心では望んでいない方向へと自分を強制する可能性があります。
『こちらはマズイ』『このままでは危ない』とわかっているのに、内なる影が、そちらのほうを選んでしまうのです。
あるいは別の形で表れた衝動的な欲求を、とことんやりきることで、その感情の持つエネルギーを使い果たそうとすることがあるでしょう。
自分のなかで『これをしよう』と決めると、誰もそれを強制しているわけでもないのに、くたくたに疲れてもやめられない…ということがあるかもしれません。
あるいは、どんな行動であっても衝動が止められず、ワーカホリックや勉強依存、趣味を眠らずに続けたり、食欲・買い物欲・性欲といったものが止まらなかったり、別れたいと思っても別れられなかったり、嫌なのに逃げ出せなかったり、相手のすべてを知るまで追いかけ続けてしまったり、といったことが起こる可能性があります。
これらは自分自身の体力と精神を蝕む行為。
そして、そのような行為に駆り立てているものは、自分で無視している【感情】なのです。
自分の内側のなにが、それらの衝動に駆り立てているのか、真に理解する必要があるでしょう。
そこにある感情がどんなものであっても【見て、理解すること】で、変容がはじまります。
自分のなかに隠されている『秘密』を暴くことが、エネルギーを建設的に使うためのレッスンとなるでしょう。
蠍座は【生命感覚】を司り、これは自分自身のパワーと生命力を感じる感覚です。
生命力は鍛えることで高められるので、蠍座の土星を持つ人は何事も無理してしまう傾向があるでしょう。
また、パワーには精神的なものも含まれますが、自分の本当の感情を表現することは、どちらかというと不得手かもしれません。
落ち着いて沈静している状態を好み、自分がどのような影響を人に与えているのか、いつもどこかで窺っているところがありそうです。
しかし、それがいつも良いとはいえません。
自分の感情を隠して、相手への影響や心境にばかり気を向けていると、いつしかパワーゲームに陥ってしまいます。
相手がいま、なにを考えていて、どう出ようとしているのか、どうすれば相手の先手を打つことができるのか……。
頭のなかで策略をめぐらせて、誰がどれだけ人を惹きつける力を持っているのか、どうすればその場を思うように動かせるのか、ということに気をとられるかもしれません。
それは、人の心を巧みに動かす力となりますが、そうすることで自分自身が関係のなかに絡めとられていき、常に他者との感情の応戦ばかりが心を占めるようになる可能性があります。
その癒着した関係から自由になるには、他者との関係のなかに、いったい自分がなにを求めていて、なにを投影しているのか、真に気づく必要があるでしょう。
心のもっとも深いところにある自分の真実……自分の隠された感情を受け止めることで、誰かをコントロールする必要がなくなります。
自分が真に求めていることを理解できれば、誰かにそれを投影することで、代償を得る必要がなくなるでしょう。
自分自身と真摯に向き合い、心の深いところへ潜りこみ、そこにある感情を感じて、解放すること。
そこから変容がはじまります。
自分のなかの深い感情が解放されることによって、真の静寂が訪れて、なにが起こっても冷静に対処できる集中力が発揮されるでしょう。
そして眠っていた力が目を醒まし、自分自身の手で本当に求めていることを成し遂げることができるかもしれません。
蠍座のキーワードは【I transform・わたしは変容する】
深みにある感情を解放して、本当の自分自身に目醒めることが蠍座の土星を持つ人のテーマといえるでしょう。